今日は、誕生日やった。誰の。俺の。俺って誰。スペイン。
過去形で話し始めたけど、一応まだ終わったわけではない。
あとほんの少しだけ時間が残っとる。
朝からずっと、色んな人におめでとうって言ってもらった。
プレゼントもたっくさんもらった。ほんまに嬉しくて仕方ない。本当やで。
でもな、ずっと朝からもやもやした気持ちがあんねん。なんでやと思う。
俺の大事なだいーじなに今日は何にもしてもらってないからや。
今までは0時ぴったりに、誰よりも早く、おめでとうってお祝してくれたんやけど、
今日はおめでとうという言葉を彼女の口から聞いてない。普通に、いつも通りのやった。
話しかければちゃんと返事してくれるし、いつも通りかわいいし、それ以外は何も変なところはない。
別にええんやけど、ちょっと寂しいなと、思うわけで。
そんなことを思いながら流されるままに今日という日を過ごしてきてしまった。
もうその時間も終わろうとしてる。はやっぱり、何も言わん。
に嫌われてしもたんやろか……。



「スペイン!」

「なんや、。今親分ブルーやねん」

「どこが?」

「ここ」


ちょんちょんと自分の心臓を指でさす。
は、
「ふーん、そっかぁ」と言って軽く流してしまった。ほんまなんやのこの子。


「そろそろいい時間かな」

「何が、」

「よーく聞いててね」

「はいはい、ええよ」

「Feliz cumpleanos!」


え、なん、えっ、ええっ!
今、このこ、なんて喋ったか聞きましたかみなさん。俺の国の言葉でおめでとおって言ってくれたんよ!
夢じゃないんやろか。これ現実なんか。えっ、すごないですか。親分びっくりして敬語になってもうた。


「いつも一番最初におめでとうって言ってたから、たまには一番最後になってみたの、だめだった?」


なんなん、。ほんま、可愛すぎるやろ!