全部吐き出したら楽になると思ったのに、実際のところはうまくいかないから嫌になる。
最低条件をあなたが隣にいること、としたらそれさえもないのでやっぱりこの恋はお終いなんだろう。
ロマーノとデートしなくなったのはいつからだろう。放課後一緒に帰ることもしなくなった。
席も隣じゃなくなった。喋る機会も減って、目を合わせることすらなくなって。
あたたかくてふわふわした幸せな思いでなんてほんのちょこっとしか残っていないと思う。
でもね、本当はわかっていたの。最初から結末は決まっていた。だって、それがあなたでしょう。
ずっとずっと好きだった。憧れてた。私から見るあなたはすごく素敵で、きらきらしていた。
そんなあなたの隣が私なら、って何度も何度も願った。
告白するときなんて、どきどきしすぎて何を言ったか覚えていないぐらい。
でもそんな私にあなたは応えてくれた。これは夢じゃないのかって思ったけれど、もちろん事実で。
嬉しくて毎日ロマーノの傍にいた。彼はいつでも優しかった。と私を呼んでくれるときの声が心地よかった。
時々照れる顔なんかはすごく可愛かった。(実際に可愛いと言ったら怒られたけれど。)
でも付き合い始めてからだんだん知った。ロマーノは浮気癖があるんだって。
過去に何人もの女の子と付き合ってた話なんかもその頃初めて知った。
そして、私と付き合っている間にも浮気をしていることも知った。
教室移動中に窓の外から見える裏庭に、ロマーノと知らない女の子が一緒にいるのを見てしまったときはひどく泣いた。
私は夢を見すぎていたから、気付くのがとても遅かった。
友人はみな私に彼はやめたほうがいいと言ったのも、そういうことだからだろう。
それでもロマーノのことが好きで、全部目をつむっていた。だってまだ、あなたの隣は私だったから。
「こうして2人で話すの、久しぶりだね」
「……早くしろよ」
「うん、ずっと縛り付けててごめん」
「……」
「昔の私に夢、見させてくれたんでしょう?もういいから」
「何が、」
「さよなら」
さよなら、ありがとう。あなたの夢を見れてとても幸せだったよ。
私はもうおとぎ話のお姫様じゃなくなっていたけれど、もう十分だった。
目が覚めたからっぽの心、ロマーノとの優しい思い出は全部夢の中においてきた。
これでいいんだ。大丈夫、話をするときはちゃんと笑えていたから。
前はいっぱい泣いたこともあったけれど、泣かないよ。わたしはもうお姫様じゃないから。
夕日が差し込む放課後の廊下を走って走って、夢物語は全部捨てて行くんだ。
ロマーノが追いかけてきてくれたらなんて、小さな夢も、捨てて。
さ よ な ら
い と し い
ゆ め も の が た り
091030
(ロマは色々ふらふらしてるけど一番はやっぱりお姫様だと思う)