そうよ、ずっと待ってたのよ1年に1度やってくるこの期間を。
どれだけこの日を楽しみにしていたことか!
今年もあると思うと本当に嬉しくて嬉しくて仕方がない。
昨日はやっとCMを見れてわくわくしてしまった。
あぁもうみんな食べればいいよ、こんなにおいしいんだもの!!
休み時間になったと同時に私はお馴染の悪友達にこの喜びを伝えた。
1人でも多くの人がこの素晴らしい出来事を知るべきだと思うのよ私。
校内放送使いたいところだけれど、ご立派な眉毛をお持ちの生徒会長様(笑)
に怒られるのでそれは仕方なくあきらめて3人の学友に的を絞ったのだ。私ってばえらい。
「聞いて聞いて!明日は偉大なるグ★タンコ★ッケバー★ーの発売日ですよ!!」
「炭水化物×炭水化物の何がうまいんだよ、やっぱ肉だろ肉!」
出だしから否定したのはギルベルト。あーあーやだやだこいつは問題外ね。
まったくその奇跡の味を理解できないなんて……こいつの舌はどんな構造してるのかしら。
ギルなんてベー★ンポテト★イでも食べてればいいのよ。安いし。
「あーあーこれだから男は嫌だね、この繊細な味を理解できないなんて、可哀そう」
「うーん、お兄さんはグラコロ派かなぁ、意外においしいよね」
「でしょでしょ?!フランシスはそう言ってくれるって信じてた!」
さすがフランシス!うんうん、やっぱりグルメな人にはわかるのね。
ギルと違って出来が違うわ……。あのクリーミィな味わいはグルメな味なのね。
フランシスが味方とあれば百人力だわ!
「俺はいつでもの見方だよ」
「ねぇ、アントーニョは?」
(あれ、無視かなこれ……)
「グラコロもええけど、肉、ええなぁ」
「えーアントーニョも肉なのか……」
あーでもアントーニョは、仕方ない気がする。どっちもなかなかのボリュームだけど、
男の人ならグラタンのボリュームより肉のボリュームよね。
それにトニーはいつもお金ギリギリだし。一体何に使ってるんだろう。
「ほらみろ!全人類はチ★ンタ★タの前にひれ伏すんだよ!」
「うっせ、ばーかばーかギルなんか嫌いだ!」
「な、なんだよたかがハンバーガーひとつでそんなに言うことないだろ……」
「ハンバーガーひとつでもなめたらあかんで!」
「冗談に決まってるじゃん気付けよ」
「しょうがないよ、ギルはバカだし」
「せやで、」
「そっかー」
「おい、お前らなんてこと言うんだよ!俺ら友達だろ?友達はもっと大事にすべきだろ?!」
ギルは慌てた様子でフランシスとアントーニョに聞くけど、
そんな質問無駄だと思うなぁ……だって、ねぇ。
フランシスとアントーニョは驚いたような表情をして二人して顔を見合わせる。
少し間をあけてから、とぼけた表情のままのフランシスが先に口を開いた。
「そうだっけ?」
「そんな約束した覚えないわぁ」
ほら、やっぱりね。アントーニョなんか笑顔で言い放った。
もうこういう返事が毎度のことなんだから、ギルもいい加減学んだほうがいいと思う。
あーあ涙目になってるし、二人にまた笑われてるし。
過去を振り返るのも大事だよ、本当に。まぁこの様子ではギルにはそんなこと無理だろうけれど。
「……不憫ねギル」
ハンバーガーと不憫と
091010(★はただの伏字)